雪面状況(斜度、雪質)の違いでスキー板にかかる力の配分はどのように変わるか?(遠心力を考えないものとする)
スキーヤーには地球の中心に向かって引っ張られる力、重力Aが働いている。重力Aは斜面の傾きによって2つの力の成分(スキー板をフォールライン方向に滑らせる力B、雪面にかかる圧力C)に分解される。図を比べて見ればわかるとおり、急斜面では緩斜面よりも板を滑らせる力Bが大きくなり、逆に雪面にかかる圧力Cは小さくなっている。従って急斜面では緩斜面に比べてブレーキングの力が弱くなり、スピードがでやすい状態となる。よって急斜面になればなるほどスピードコントロールのための2つの要素(雪面に対する圧力コントロール、ターンコントロール)をより積極的に行って、ブレーキングを強くしなければならない。
摩擦力Dはスキー板にブレーキをかける力である。例えば日常生活で、舗装された坂道の道路に立っている場合、フォールライン方向に滑っていこうとする力Bと摩擦力Dが釣り合っているため、止まっていることができる。雪面でスキー板をはき、スキー板をフォールライン方向に向けると、摩擦力Dは非常に小さいので、スキー板は滑り出す(逆にスキー板をフォールライン方向に対して垂直方向におくと、スキー板を滑らせる力Bと摩擦力Dが釣り合うため止まっていることができる)。
摩擦力Dは雪面の雪質によってその大きさが変わる。アイスバーン等の固斜面では摩擦力Dは非常に小さいので、スピードがでやすくなる。悪雪(春の雪)、深雪等ではスキー板が雪面に食い込むため摩擦力Dは大きくなり、スピードはでにくくなる。
Auther : Masahiro Kaida
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