なぜ外向傾が必要か?
必要に応じた内、外足の前後差を作れば、内足がターンの妨げになることはなく、一応ターンを行なうことができる。それでは、なぜ外向傾が必要なのか?
このことは、腰の位置と、その時の足の裏の加重点とに関わりがある。
図3は、おじぎをするような格好で、足の裏から真上に伸ばした垂線(赤い線)よりも、腰の位置を後ろに移動した場合である。図を見ると、赤い線よりも前に出ている上体の部分が多いので、つま先に加重がかかるように思われるが、実際にはかかとに加重がかかり、足首は伸びる。
図4は、後ろの方に体を反り、腰の位置を、足の裏から真上に伸ばした垂線(赤い線)よりも前に移動した場合である。この状態では、後ろに倒れるような感じがして、かかとに加重がかかるように思われるが、実際にはつま先に加重がかかり、足首は前に曲がる。
次に、平地にまっすぐ立った状態で、図5のように、片方の足を前に出してみる。この状態では、腰の真下にある後ろ足に体重がかかり、この時点では前足には体重はかからない。
図6のように腰の位置を前足の真上に移動すると、前足の方に体重が移動して、今度は後ろ足に体重がかからなくなる(人間が歩く時には、この運動を繰り返す)。
つまり、内、外足の前後差を作り、内足を外足よりも一歩前に出しただけでは、外足には体重はかかっているが、内足には体重が乗っていない状態となる。両足加重でターンする場合には、内足にも加重はかかっていなければならない。また、外足一本でターンしている場合においても、ターンの切換時には、内足に体重を乗せかえることになるので、内足に乗り換えた瞬間に、しっかりと体重がかけられる状態でなければならない。すなわち、内足にも体重をかけるためには、内足を前に出した量だけ内腰も前に出さなければならない。内腰が前に出れば、それに合わせて内肩も前に出さなければ不自然になる。
結論をまとめれば、外向傾はターンしている間、両足にしっかりと加重するために必要である。そして、ターン中に発生する内、外足の前後差の量だけ、内腰および内肩を前に出す必要がある(これを自然な外向傾ということにする)。
Author : Masahiro Kaida
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