ターン切換がスムーズに行えないため、その部分で手間取り、直進が長く入る場合
理想的なターンは、きれいな丸いターン弧からきれいな丸いターン弧へ、いつもスキー板が回旋していることが望ましく、ターンの途中にスキー板の直進が入らないようにしたほうがよいと述べたが、ターン切換部分では、どうしてもスキー板は直進することとなり、その部分ではスピードが加速される。従ってこの部分で手間取り、スキー板の直進する時間が長くなると、いっきにスピードが加速するため、その後のターン前半でのスピードコントロールが難しくなる。スキー板の描く軌跡としては、先に述べたターン後半時の間延び状態と似ている。
ターン切換時には次図のように、@内足インエッジへの乗り換え、A次のターン方向への重心(腰の位置)の移動、Bエッジの切換(次のターン方向へ脚を傾けていく)、C次のターン方向へ脚をひねり、ターンを始動する(ターン切換時からターン前半にかけてはスキー板は勝手に回り出さないため、脚の力を加えて、ターンを始動させなければならない)等、スキーヤーはターン前半及びターン後半よりも多くの運動を、短い時間に積極的に行わなければならない。このスムーズなターン切換が、ターンを行う上でいちばん難しい部分だと言える。
ターン切換がスムーズに行えないということは、上に述べた4つの運動のうちのどれかがうまく行えていないということが原因となっている。
その一つめとして考えられることは、内足インエッジへの乗り換え時に、うまく内足インエッジに乗ることができない場合。このようなスキーヤーの場合、次図のように、ターン切換に入る前に、まず山側に一度内足を開き出してエッジングをフラットにした上で、内足に乗り換えるような運動を行っている。当然、内足の開き出しの動作が一つ増える分、ターン切換に時間がかかり、スキー板は加速されやすくなる。従って内足に乗ってバランスをとることができないスキーヤーは、内足ターン(内足一本だけでターンを行う)等を練習して、そのバランス感覚を養う必要がある。
二つめの原因として考えられることは、ターン後半からターン切換時に移る瞬間に、スキーヤーのポジションが遅れた場合が上げられる。
ターン後半時、スキーヤーが丸いターン弧を描いてターンしている間は、スキー板にはブレーキが働いているので、慣性の力によって上体には、前方に少し引っ張られるような力が働いている。ターン切換時にスキー板の回旋が止まり、スキー板が直進すると、ブレーキがはずれ、スキー板は加速していく。その時、スキーヤーの上体はスキー板の動きにすぐにはついていかないため、上体は遅れることとなる。つまり、ターン後半にはスキーヤーの体は前方に少し引っ張られるような感じを受け、切換に入る瞬間には、上体は逆に後ろに引っ張られるような感じを受ける。すなわち、ターン後半の感覚のままの気持ちで切換に入ると、スキーヤーの上体は遅れることとなる。この変化を予測し、スキーヤーはターン切換時に意識して重心を前のほうに移動しなければならない。
前述したように、ターン切換時にポジションが遅れると、
(腰が後ろに引けるマ足首が後ろに引っ張られ、足首が伸びた状態になるマ脚の動きが制限されて、脚のひねり、エッジングができなくなる)
となり、脚の動きが制限されて、A次のターン方向への重心(腰の位置)の移動、Bエッジの切換(次のターン方向へ脚を傾けていく)、C次のターン方向へ脚をひねり、ターンを始動する、といった運動ができなくなる。
三つめに上げられるのは、左右方向のバランス感覚の問題である。
スキーヤーがターンをしている時、スキーヤーにはターン外側へ引っ張られる遠心力が働いており、スキーヤーはこれに対して体をターン内側に傾け、これによってバランスを取っている。ターン切換時は、スキー板が直進するため遠心力は無くなり、切換が終わって次のターンが始まると、また遠心力が発生することとなる。すなわち、スキーヤーは、この遠心力が発生したり消えたりする変化に合わせてバランスを取らなければならないので、ターンしている時よりもこの部分でバランスを取るのは難しい。従ってこの際のバランスを取る感覚(体を傾けていくのとターンを始動していく時とのタイミングを合わせること)が弱いと、A次のターン方向への重心(腰の位置)の移動、がうまくいかなくて、ターン切換に手間取ることになる。このバランス感覚は、滑っていく経験の中で養うしかないと思われる。
ターン後半に横滑りが入る場合
**次の機会に更新する予定です。**
Author : Masahiro Kaida
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