ブレーキが働いていなくて、スピードが加速される場合(ターン切換時からターン前半)
Aは雪面に接しているので、Aにかかる重力A1は斜面の傾きによってA2とA3の二つの力に分けられる。B及びCは、雪面と接していないため、それらにかかる重力B1及びC1はスキーヤーの体軸の傾きによってそれぞれB2、B3及びC2、C3に分けられる。しかしながらスキーヤーの体軸は斜面に対して垂直に傾いているので、結果としては
B2、B3及びC2、C3は、斜面の傾きによって分けられた場合と同じになる。従って
(A2=B2=C2)
となり、A,B,Cそれぞれのパーツが均等な力でフォールライン方向に引っ張られているので、バランスよく滑れることになる。また
(A3=B3=C3)
となり、これら三つの力は体軸上にあるので、この三つの力を足したものが雪面にかかる圧力となる。
もし体軸の傾きが斜面に対して垂直な状態よりも少ない場合は、図5のようになる。
図を見ればわかるとおり、体軸によって分けられた力B2及びC2は、斜面の傾きによって分けられた力A2よりも小さな力となる(A2が急斜面を滑っている時にフォールライン方向に引っ張られる力だとすると、B2及びC2はそれよりも緩斜面を滑っている状態でフォールライン方向に引っ張られる力と同じようなものである)。すなわちスキー板の滑り落ちる速度よりも上体の落下する速度の方が遅くなり、上体が遅れることとなる。
Auther : Masahiro Kaida
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